ソマティック・エクスペリエンシングについて

ソマティック・エクスペリエンシング(SE)とは
ソマティック・エクスペリエンシング(SE、ソマティック・エクスペリエンスとも)はトラウマやPTSDに対する心理療法のひとつで、ピーター・ラヴィーン博士によって考案されました。博士はサバンナの野生動物は日常的に死と直面するような体験をしているにもかかわらず、トラウマにならないのはなぜかという疑問を抱きました。そして実際に観察を続ける中で、トラウマの背景には未完了のままになっている体験や行き場を失った未開放のエネルギーがあるのではないかという結論に行きつきました。セッションでは安全な環境と関係性の中でポジティブな内的感覚(リソース)を育みながら、きわめて穏やかに未完了になっている自己防衛反応の完了、未開放のエネルギーの解放を行っていきます。トラウマに対する心理療法には、おもに「認知」や「思考」に働きかける「トップダウン」タイプと「からだの感覚」に働きかける「ボトムアップ」タイプがありますが、SEは後者に属します。セッションでは何をやるの?
- リソース構築 まずは相談者の内側や外側にあるいい体験(リソース)を見つけて、育んでいきます。それは居心地のいい場所や、人、物、活動などかもしれません。なかなか見つからない場合は「ちょっとマシ」な体験を探していきます。安全感をはじめとしたポジティブな感覚に気づいたら、それをしっかりと身体で感じ、とどまれるようにしていきます。
- トラウマ体験への再交渉 ほんのわずかずつトラウマ体験の要素(身体感覚、感情、イメージ、衝動、動きなど)に気づきを向けていきます。それは、急激な化学反応が生じないよう、スポイトを使い1滴ずつ試験管に薬品を落としていく作業に例えられます(タイトレーション)。さらに振り子のように、ちょっと嫌な体験にふれたら、またいい体験にもどる(ペンデュレーション)ということを繰り返し、徐々に苦痛にとどまれる範囲(耐性領域)を広げていきます。その際、カウンセラーと相談者は「今・ここ」での自律神経の状態の変化を細やかに追いかけていきます(トラッキング)。そして、圧倒される前に自律神経の状態を整えることができるよう、カウンセラーと一緒に調整する練習をしていきます。ちなみに出来事をカウンセラーの前で事細かに話す必要はありません。カウンセラーに伝えるのはその体験の見出し程度(「性被害について」「交通事故」「クラスメイトに言われたこと」など)でも構いません。そのことを頭に思い浮かべただけでも、何らかの反応は起きてくるので、それを扱っていきます。
- 体験の完了 未完了の体験のきざしは主に衝動、欲求、願望として現れてきます。それは例えば以下のようなものです。
・逃げたい
・よけたい
・押しのけたい
・言い返したい
・叩きたい
・泣きたい
・震えたい
・甘えたい
・ケアしてもらいたい
・こういう動作をしたい
・こういう言葉を言いたい
・こういう言葉をかけてもらいたい
・こういうサポートがほしい
・よけたい
・押しのけたい
・言い返したい
・叩きたい
・泣きたい
・震えたい
・甘えたい
・ケアしてもらいたい
・こういう動作をしたい
・こういう言葉を言いたい
・こういう言葉をかけてもらいたい
・こういうサポートがほしい
衝動、欲求、願望にアクセスしたら、カウンセラーの協力のもと動きや行為、イメージを使いながら、ゆっくりと穏やかにその体験を今・ここで完了させていきます。