カウンセリングってどんなことをするの? 〜初めてのカウンセリングに不安を感じる方へ〜

目次
はじめに:「話す」ことのハードルの高さ
「カウンセリングに行ってみたいけど、何を話せばいいのかわからない」「こんなことで相談していいのだろうか」──そんな声をよく耳にします。特に日本では、カウンセリング=深刻な悩みを抱えている人が行く場所、という印象が根強く残っています。
ですが、実際には「少ししんどい」「誰かに話したい」と感じたとき、気軽に利用して良い場所でもあるのです。このコラムでは、初めてカウンセリングを受ける方に向けて、その流れや雰囲気、話す内容の例などを紹介します。
カウンセリングって何をするの?
一言でいえば、「安心して話せる対話の場」です。問題の解決を急ぐよりも、まずは「今のありのままの気持ちに向き合っていく」ことを大切にしています。カウンセラーは、あなたの話を否定せず、アドバイスを押しつけることもありません。安心できる環境で、あなたが自分のことを少しずつ言葉にしていけるように、じっくりとお聴きいたします。
たとえるなら、「ひとりで抱えていた荷物を、いっしょに眺めながら少しずつ下ろしていくような時間」と言えるかもしれません。
何を話せばいいの?──まとまらない思いに向き合っていくための場所
よくある誤解に「話す内容をまとめておかなければいけない」というものがあります。でも実際には、まとまっていないからこそカウンセリングが役立ちます。たとえば、こんなことでも相談の入り口になります:
- 漠然と気分が落ち込む
- 職場や家庭でイライラする
- 人間関係がしんどい
- 将来や自分に自信が持てない
- 誰にも言えないことがある
「なんとなくつらい」「理由はわからないけど、しんどい」といった状態も、十分に話す価値があります。
どんなふうに進むの?──安心できる対話の時間
初回のカウンセリングでは、自己紹介や相談の希望、生育歴、現在の状況などについてゆっくり話します。話す内容のペースや深さは、相談者に合わせて調整されます。沈黙があっても大丈夫ですし、涙が出ても構いません。話したくないことは、話さないという選択もできます。
「こうでなければいけない」という形はありません。あなたのペースで、あなたらしくいられる場になるように、カウンセラーは寄り添います。
通い続けると、何が変わる?
すぐに問題は解決しないかもしれませんが、「話すこと」や心理療法を通して、自分の感情や思考が少し整理されてきます。それにより、
- 考えがまとまりやすくなる
- 気持ちの波を穏やかに感じられる
- 人との関わり方が少し楽になる
- 自分を責めすぎなくなる
といった変化が、少しずつ現れてくることがあります。継続的に通うことによって、ひとりでは気づけなかった感情やパターンに光が当たって自己理解が進んでいきます。そして、より生きやすいこころの在り方を身につけていただけるよう心がけています。
カウンセリングはどんな人のためのもの?
「今すぐ何かを変えたい」「つらさの原因を知りたい」という方もいれば、「とにかく話を聴いてほしい」「自分のことを整理したい」という方もいます。実は、カウンセリングはどんな方にも開かれた場です。特別な条件や深刻な悩みが必要なわけではありません。
むしろ、今はまだ言葉になっていない気持ちを抱えているときこそ、いちばん適しているともいえます。
最後に:いまのあなたのままで、大丈夫
カウンセリングは、「今の自分をそのまま持ってきていい場所」です。完璧ではなくても、元気でなくても、言葉にならないままでも、訪れて良い場所です。
まずは「話してみる」、その小さな一歩が、次の何かを変えていくきっかけになるかもしれません。「相談してみようかな」と思ったご自身の気持ちを、そっと大事にしてあげていただけたらと思います。