オンライン(リモート)でEMDRを受けたい方へ
はじめに
EMDRとは、「眼球運動による脱感作と再処理療法」と呼ばれるトラウマやPTSDに特化した心理療法です。苦痛な記憶の処理に「両側性刺激」と呼ばれる左右交互の刺激を用いる点が特徴です。詳しくはこちらのコラムをご覧ください。
本コラムではEMDRをzoomを通じて遠隔で行う際のやり方を説明します。また、オンラインで行うことのメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。オンラインでEMDRを受けることを検討されている方には、メリットだけではなくデメリットについても知っていただき、納得の上で受けていただければと思います。
オンラインにおける両側性刺激
両側性刺激とは、記憶を思い出すと同時に注意を向けてもらう左右交互の刺激のことです。
この刺激によって、
- 現在と過去の二重の意識を維持する
- 右脳と左脳の統合を促す
- REM睡眠と同じように記憶の整理を促す
といったメカニズムが想定されています。
両側性刺激には、視覚刺激・聴覚刺激・触覚刺激の3種類があります。クライエントの方の好みやトラウマの内容、そのときの状態に合わせて方法を選びます。
対面の場合には、セラピストが指を左右に動かしたり、耳元で交互に音を鳴らしたり、ひざや手の甲をタッピングしたりして行います。
オンラインの場合は、当相談室で開発したRenderというクラウドホスティングサービスを通じた専用アプリケーションを使用し以下のような刺激を用います。
- 視覚刺激 … 画面上を左右に動くボール
- 聴覚刺激 … 左右交互の音、または左右に揺れる音楽(バイラテラル音楽)
- 触覚刺激 … 交互に振動するスマートフォン(2台必要)、スピーカーの振動、またはセルフタッピング
↓アプリイメージ↓
特別なインストールは不要で、お送りするリンクにアクセスするだけで利用できます。
ただし、現在、iPhoneでは一部機能に制限があるため、PCまたはAndroidスマートフォンの使用をおすすめします。
オンラインのメリット
- 安心できる環境で受けられる
(独居や誰も入ることのない自室がある場合)なじみのある自宅・自分の部屋という安心の場で落ち着いて取り組むことができます。 - 移動の負担がない
移動時間や交通費がかかりません。また、天候や交通事情に左右されず継続しやすくなります。 - 近くにEMDRセラピストがいなくても受けられる
地域に関係なく、専門のセラピストによる支援を受けることができます。
オンラインのデメリット
- 状態がセラピストに伝わりにくい
姿勢、表情や呼吸などの細かなサインを、セラピストが把握しづらいことがあります。 - 自宅環境によっては集中しづらい
同居者の出入りなどで注意がそれやすくなることがあります。同居者に知られたくない場合は、落ち着いて受けられないかもしれません。 - 緊急時の対応に制限がある
強い動揺が起きた場合、対面ほど直接的な介入がしにくいと言えます。そのような事態が想定される場合は、事前に安全確保の計画を立てる必要があります。 - 通信トラブルのリスク
重要な場面で、通信が途切れたり遮断されるなどのトラブルが生じる可能性があります。リスクを減らすには、有線接続をお勧めしますが、それでもトラブルの可能性を0にすることはできません。
おわりに
オンラインでのEMDRは、対面と比べても多くの研究で「効果はおおむね同等」と報告されています。確かにデメリットもあるものの、環境と適切な準備を整えれば、オンラインでも十分効果的に行うことができます。
「通うのが難しい」「近くにEMDRのセラピストがいない」「自宅で落ち着いて取り組みたい」——そんな方にとって、オンラインでのEMDRは有効な選択肢の一つと言えます。
当相談室では、通信環境や安全確保の方法を確認しながら、安心して受けていただけるようサポートいたします。